走井餅老舗 (2014/10/12)
石清水八幡宮の門前菓子といえば走井餅。
一の鳥居の目の前に店を構える老舗。
目の前は
店内
走井餅は江戸時代中期の明和元年(1764年)に大津で創業、湧水「走井」を用いて、初代井口市郎右衛門正勝が餡餅を作ったことに始まる。
走井は、成務天皇の産湯に用い賜れるほどの名高い水だった。
刀の荒身を模した独特の形は、平安時代に名を馳せた刀鍛冶・三條小鍛冶宗近が走井で名剣を鍛えたという故事にちなみ、剣難を逃れ、開運出世の縁起を担いだものと伝えられている。
安藤広重「東海道五十三次」の大津宿にも描かれた大津名物走井餅は、明治43年(1910年)6代井口市郎右衛門の四男嘉四郎によって、名水で名高い石清水のふもとへ引き継がれた。
やわたへ受け継がれほどなくして大津の本家は廃業。
その跡は現在、月心寺となっている。
井口家の生家で、走井餅発祥のその場所には、今でも滾々と走井の名水がわき続けている。
なお本家廃業と同時に、当家が直系唯一の走井餅となった。
大津では明治天皇へ、やわたへ移ってからは昭和天皇へ献上された由緒深い走井餅。
大津で150年、やわたで100年。かつての大津名物は250年ものときを経て、石清水八幡宮のお参りに欠かせないやわた名物となった。
走井餅と抹茶のセット
東海道五十三次に描かれていた走井餅老舗
左下に店の前で湧き出る走井が描かれている。