約300年の伝統を持つ京懐石 川魚料理の老舗。
昨年8月に朝粥を目当てにフラッと立ち寄ってからちょうど一年。
台風8号の影響か朝8時の予約客はあまりいないようだった。
一年前に一度しか訪れたことがないにも関わらず、玄関口で昨年朝粥を食べに来たことへのお礼を丁寧にして頂きとても驚いた。
老舗のおもてなしには頭が下がる。
平安神宮にほど近い閑静な環境の中、清々しい青竹に囲まれて建つ「京懐石 美濃吉本店 竹茂楼」。
享保年間に三条河原で川魚の店を出したことに始まり、京都所司代から「川魚生州八軒」として許可を得た歴史を持つ。
戦後、粟田口に居を移し、平成4年(1992)に格式ある料亭へと生まれ変わった。
こちらの料理は吟味食材を使い、季節感を大切にした京料理。
鰻をはじめ鮎やすっぽんなど、川魚独特の旨みを巧みに引き出した料理は、創業1716年からの伝統と経験が生きている。
建物は数奇屋(すきや)の本館と合掌造りの別館があり、各座敷は小川が流れる竹林の庭に面している。
洗練された優雅な本館、素朴さが魅力の別館とそれぞれ趣を異にしているが、掛け軸や花の生け方などのしつらいはどちらも四季折々の情趣に富み、取り合わせの妙を堪能することができる。
三条大橋から三条通を東(平安神宮方面)にまっすぐ10分ほど歩くと右手に粟田神社の鳥居が見える。
その鳥居を過ぎ、すぐ左に曲がる道を左折して50mほど進んだ右側。
門構えからして素晴らしい。
朝茶膳の看板。
昼、夜はちょっと近寄りがたい高級名料理屋。
敷地内に入ったところ
昨年訪れた時は晴れていた。
玄関
玄関正面の壁には長刀鉾の粽がかけられている。
靴を脱いで玄関の中へ
玄関正面の壁には、沢山の芸舞妓さんの京丸うちわが掲げられている。お客さんとご飯食べに来た時のものでしょう。
予約した定刻通りに到着していても、まずはバーラウンジのような控えの間でお茶を出され、遠方から来店したこと、足下の悪い中来店したことに丁重にお礼を言われる。
一息おいて、部屋に案内される。(全て個室)
高級料亭旅館のような廊下を進み。
菊重という部屋に通される。
今日のお部屋
朝顔の花の掛け軸げ掛かっている。
京都が生んだ画壇、堂本印象の印が確認できる。
さて、着席して朝食。
まずは、焼鱧にきゅうり、みょうがを和えたもの 賀茂茄子の白味噌田楽 炊き合わせ 岩豆腐
八寸は、鮎の一夜煮と鰻寿司など
メインのお粥
お粥 葛あん 赤だし(わらび餅入り) 漬物 鰻
最後は、水ようかんと抹茶
献立
先月訪れた南禅寺畔の瓢亭といい、ここ竹茂楼といい日本料理の最高峰の名店で食する朝食はとても贅沢なもの。
三食の中でも粗末になりやすく、軽視されやすい朝の食事をわざわざ贅沢な空間でゆっくりとした時間をかけて高度な技を持った職人が腕によりをかけて作ったものを頂こうと思える心の余裕のようなものに気付き、それを持てたことに感謝したい。
昨年に続き、今年もまた同じ時期に同じふたつの名店で夏季限定の朝粥を堪能出来たことはとても幸せだった。