瓢亭 (2015/7/22)
京都の夏の楽しみの一つの朝粥。南禅寺畔の瓢亭へ。
明治時代の歌人で祇園をこよなく愛した吉井勇が詠んだ歌にも登場する老舗和食店。
「瓢亭の朝粥すすり松に吹く風の音聞けば心すがしかも」 吉井勇
料理屋としての創業は1837年だが、南禅寺参道の腰掛茶屋として暖簾を揚げたのは今から400年前といわれている。
名物の朝がゆは本店では夏の間だけだが、別館では4月~11月にいただくことが出来る。
2010年のミシュランガイドで3つ星に選ばれ、また瓢亭14代当主で無形文化財保持者の高橋英一さんは、昨年12月に料理では初となる世界無形遺産に和食が認定される過程で多大な尽力をされた方。
「瓢亭」の「朝がゆ」は、近代の文人、吉井勇、与謝野晶子、谷崎潤一郎などがこよなく愛し食したといわれる名物料理。
また「瓢亭」は、それ以前の時代、明治維新の功労者や、明治の元勲達も頻繁に訪れた場所。
すぐ隣には山県有朋の別邸である「無鄰菴」があり、当時の首脳や高級官僚、貴族、陸軍大将なども客人に名を連ねる。
入口待合室
中庭を囲む店内。
蓋を開けると、玉子、サツマイモ、鯖のかんぴょう巻き、きゅうりの和物、白身魚ととろ昆布、茄子の西京味噌田楽など。
瓢亭玉子が盛り付けられていた皿には季節を感じさせる青もみじと「花の都北南禅寺」の文字。
豆腐と海苔の汁物。
メインの朝粥
吉野くずのあんかけをかけて頂く。
朝がゆ自体は、明治の頃祇園の花街で遊んだ旦那衆が朝になり、二日酔いの頭を抱え、芸妓を連れ「なんか作ってんか?」と主人に頼んだのが始まりと言われている。
馴染みの客からの要望に、店の主人も断れず、有り合わせのもので用意した料理に、食べやすいように御飯は粥にして出したという。
また朝がゆにも昼・夜の懐石にも登場する「瓢亭玉子」という半熟卵は有名。
白身はしっかり固まっているけれども「黄身はトロッと半熟」という逸品。
作り方は一子相伝、門外不出。
塩加減も絶妙で、玉子の味を引き立てる。