平安神宮紅しだれ桜コンサートのウェブサイト↓
http://s.kyoto-np.jp/kp/kyo_np/info/moyoosi/2015benishidare/
JR東海 2015年春のポスター
4月中旬に見頃を迎える紅しだれ桜で有名な平安神宮神苑。
琵琶湖疏水の水を引き入れた池泉回遊式庭園は、明治初期に造園業「植治」7代目の作庭家、小川治兵衛が20年かけて築いた晩年の最高傑作。
東京遷都で荒廃しかけた京都に活気を取り戻すために建立された平安神宮にしだれ桜を植え、華やかな命をも注ぎ込み、見る者を圧倒させた。
現在も東山の地で11代目が当主としてその技を引き継いでいる。
その桜の美しさを表現するために、平安神宮は谷崎潤一郎の『細雪』、川端康成の『古都』の舞台に登場する。
細雪の主な舞台は芦屋と大阪で、京都が登場するのは春。
主人公たちは、花見だけは毎年京都と決めていて、春になると連れ立って行くのが恒例の行事になっている。
あちこちの花の名所を回り、いつも最後をしめくくるのが、平安神宮の神苑のしだれ桜だった。
谷崎潤一郎「細雪」↓
この神苑の花が洛中における最も美しい、最も見事な花であるからで、円山公園の枝垂桜がすでに年老い、年々に色あせていく今日では、まことにここの花をおいて京落の春を代表するものはないといってよい。
川端康成「古都」↓
みごとなのは、神苑をいろどる、紅しだれ桜の群れである。今はまことに、ここの花をおいて、京落の春を代表するものはないと言ってよい。
後の文章は谷崎が細雪で書いた文章を川端康成がそのまま引用している。
いずれの文学作品の中で大絶賛されている。
日本の自然の美の描写の素晴らしさを評価されノーベル文学賞を受賞した川端康成が絶賛する紅枝垂桜の美しさは今年も健在。
正面の建物、能楽堂で演奏されている。時折白壁を照らすライトアップの色が変わるのが幻想的。
ライトアップされた能楽堂と桜が手前の池にも映し出されている。
ライトアップされたしだれ桜と池の水に移る桜。
昔よりも美しいものがより身近にある今の世でも、自然の美でこれほど美しいと思えるものは他にないと思わせる平安神宮神苑の紅しだれ桜。
来年もより充実した幸せな気持ちで見ることが出来るようにと切に思う。そのように思う事の数が一つずつ増えていくごとに心の中に幸せが広がっていくのを感じる。
この先どんなことがあってもこの桜があれば生きていることが嫌にならない。そんな事を感じさせてくれる見事な夜桜見物だった。
来年の今日が待ち遠しい。